それでも雨が降るときは

ホリスティックに発達障害とつきあう

診断後 その3 カミングアウト

診断を受けた後、人生の謎が解けて嬉しすぎた私は、

そのことをいろんな人に話しました。

発達障害者にはありがちな話です。

 

それで返ってきた反応はさまざま。

何も聞かなかったようにこれまでと同じように接する人、

遠ざかった人、半信半疑な人。

家族にも話しましたが、二度とその話が上ることはありませんでした。

 

そのうちにさすがの私も、あまり人に話すべきことではないらしい

ということに気づくようになりました。

 

たとえば、心臓に問題があってね、と言っても

それほど人との関係に差し支えないような気がするのだけれど

(そうでもないのかな)、

頭と生殖器の問題はどうやら大っぴらに言ってはいけないもののようです。

私は婦人系の持病も抱えていたのですが、こちらも人には言いにくいことでした。

がん患者もきっとそうなのでしょうね。

「私、がんなの」とか「私、発達障害なの」とか言っても

「ああ、そうなんだ」とごく普通に受け止めてもらえて、

隠さずにいられたら楽なんだろうに、と思います。

 

カミングアウトしたときに、「なんか、まずいこと聞いちゃったな」

という変な空気を相手から感じてしまうと、

「気まずい思いをさせてしまったらしい」という嫌な気分になるので

言わなくなりましたが、ここ最近は、それほど親しくなりそうもない相手には話さず、

付き合いが長くなりそうな相手には機会があれば話して、

相手の反応には反応しないようになりました。

 

実際のところ、自営業でマイペースで働けているし、

発達障害で相手に配慮を求めるようなことはないのですが、

この特性は私のすべてでなくても確実に一部ではあるので、

そのことをひた隠しにしたまま他人と親密な関係を築くというのは難しいのです。

 

話せば離れていく相手もいるけれど、そういう人はどちらにしても

深い付き合いはできなかったのだろうと思います。

 

ただ、古くからの友人に話したのですが、彼女が脳疾患にかかって

手術の後遺症が残ってしまい、そのときに

「ずっと、あなたからアスペルガーの話を聞いていたけれど、

実はどういうことなのかよくわかっていなかったんだ。

でも今自分が脳に問題を抱えるようになって、

どういうことなのかよくわかったような気がする」と言われました。

 

そういう形でわかってもらえたことは、喜んでいいのかどうか複雑ですが、

そのときに、やっぱり定型発達者にわかってもらえないというのは

無理なからぬことなんじゃないかと思ったのでした。

 

(続く)