仕事が仕事をしてゐます
世の中の大半の人はお盆休みでしょうか。
フリーランス稼業はカレンダー通りではないので
仕事が入れば仕事をしますが、ここ最近、仕事の合間に
美術館めぐりをしました。
美術館に行くのは好きなのですが、観に行きたいものが
全然ない時期と、あっちもこっちも行きたい時期と極端に分かれます。
ここ最近は面白そうなものがあちこちでやっているので
そのうち2つ観に行ってきました。
師匠の国芳の方が人気がありますが、私は線の繊細な芳年が好きです。
血みどろのおどろおどろしい絵も多いですが、
「月百姿」のシリーズなどはどこか優しくて好きです。
こちらは『南総里見八犬伝』の一場面。
以前に歌舞伎で同じ場面を観たときには感動。
外国人相手に古物商をやっている知り合いの話だと、
芳年は一時期、神経を病んでいますが、
その頃の作品を見ると線の細かいこと。
狂気と表現は表裏一体ですね。
芳年とは正反対の、大らかな丸みを帯びた作品がほっこりさせてくれます。
だいぶ前に京都の清水寺近くの河井寛次郎記念館に行ったことがありますが、
とても落ち着くところです。
実際に自宅兼仕事場だったところで、寛次郎の美的世界を堪能できます。
そういうものにはまったく興味がなかったようです。
戦時中には作陶を中断せざるを得なかったようですが、
その代わりに書くことに創作意欲を注いだそうです。
その中でも有名なのが、次の「仕事のうた」。
「仕事が仕事をしてゐます
仕事は毎日元気です
出来ない事のない仕事
どんな事でも仕事はします
いやな事でも進んでします
進む事しか知らない仕事
びっくりする程力出す
知らない事のない仕事
きけば何でも教へます
たのめば何でもはたします
仕事の一番すきなのは
くるしむ事がすきなのだ
苦しい事は仕事にまかせ
さあさ吾等はたのしみましょう」
こんな境地になれたらいいですね。