それでも雨が降るときは

ホリスティックに発達障害とつきあう

フリーランサーの心得

今年も残すところあと3ヵ月となりました。

10月になって、ふと気づくと、フリーランスの翻訳者になって10年。

こんなに長く続いた仕事は初めてですが(笑)、

仕事内容云々より、フリーランスという形態が合っていたのだと思います。

 

というか、それ以前もほとんどがフリーターで、

正社員として働いたことは一度もありません。

もちろんボーナスというものをもらったこともなし。

 

そもそも学生時代(遠い昔)から、自分が正社員としてどこかに就職するというのは、

何か魂を売るような(笑)、どう考えても自分に合ってることとは思えなかったので、

はなっから就職する気はありませんでした。

 

やりたいこともあったので、食べるためにいろんな仕事をしました。

ほとんどが期間限定の仕事だったりしたので、

お金を貯めるためであれば、何とかがんばれたのです。

職場でイジメにあったこともあったけれど、

そもそも期間限定と思っていたので、職場の人間関係には興味がなく

(とてもアスペっぽいですが)、気にせずひたすら仕事をしていました。

ここで辞めたらホームレスだわって。

 

集団の中にいて孤立してしまうのはアスペルガーである所以だけれど、

孤独に強いというのもまたアスペルガーの特性なので、

その特性に苦しめられることもあれば、助けられることもあるわけです。

 

大学に入ると同時に実家を出たし、その後も一人暮らしだったので、

ずっと貧乏だったけれど、ほとんど気にしませんでした。

今みたいにネットで情報がわんさか入ってくる時代じゃなかったので

他人がどんな暮らしをしているかなんて、あんまり気にしなかったのです。

そういえば、テレビすらない時代もありました(笑)。

 

何をしていたかというと、お金を貯めてはインドに行って

現地の古典音楽を習うという、傍からするとわけのわからないことをしていました。

私がこれまで精神的に病まずにやってこれたのは、

「人並み」ということを最初っから考えていない

お気楽さがあったからかもしれません。

それを考えると、今の若い人たちはとても真面目だなと思います。

 

翻訳の仕事をすることを思いついたのは、

30も過ぎて、身体を壊し、このままでは将来的に不安なので

手に職をつけようかと思ったからです。

切羽詰まってのことで、翻訳の仕事をするのがずっと夢だったとか、

そんなことは全然ありませんでした。

 

詳しい経緯は、いずれまた書くことがあるかもしれませんが、

働きながら通信講座で勉強しながらも、

なかなか翻訳の仕事をする機会はありませんでした。

仕事をしなければ経験にならないのに、未経験ではどこも雇ってくれないという矛盾。

 

ところがあるとき、運よく、とある医療機器の会社が

派遣社員として雇ってくれたのです。

契約上は情報収集業務だったので、時給は高くありませんでしたが、

実質的にやっていたのは翻訳だったので、一応経験にはなります。

医療については無知だったのに、やってみたら面白かったので、

手取り20万ちょっとの中からお金を切り詰めて、

週末には翻訳学校で医薬翻訳の講座に通うようになりました。

幸い、あまりにもヒマな会社だったので、

課題は業務中の手の空いているときにこっそりやっていたんです。

 

それで、やっぱり会社勤めは窮屈なので、1年程度で辞めて

フリーランスになり、現在に至るというわけです。

派遣会社の人には、世の中そんなに甘くない、と言われましたし、

今考えると自分でも無謀だったなとは思いますけど、かれこれもう10年、

この仕事だけで食べています。

今では薬剤関係の翻訳もやっていますが、医療機器というニッチな分野だったことも

幸いしたのだと思います。

 

フリーランスの生活をして思うのは、何よりも体力勝負ってことです。

納期は絶対なので、一度引き受けたら高熱が出たって休むわけにはいかない。

数年前に糖質制限サプリメント摂取を始めて体力がつく前は、

ほとんど気力でカバーしていました。

 

逆を言えば、具合の悪いときには、急ぎの仕事でなければ

作業開始時間を遅らせたり、途中で横になって休んだりすることもできるのです。

しんどくなったら、収入は減るけれど、2、3日仕事を断って休むことだってできる。

会社勤めだったら、そういうわけにはいきません。

 

仕事のないときは、最初のうちはどうしようもなく不安になりましたが、

勉強時間にあてたりしていました。

そういえば、昔は仕事のほかに、2つの団体からボランティアで

翻訳や翻訳チェックの作業を請け負っていたので、翻訳づけでした。

今思えばしんどかったけれど、「翻訳体力」のようなものがついたのは

そのおかげと言えるでしょう。

 

あとは、とにかく問い合わせへの連絡は素早く、納期は絶対に間に合わせる。

もちろん、仕事はできるだけ丁寧に。

これさえ心得れば、お中元やお歳暮を贈ったりしなくても、

交流会に参加しなくても、10年にわたって仕事をもらい続けることはできます。

要は、体力つけてしっかり仕事すれば、多少コミュニケーション能力が低くたって

世の中で生きていく道はあるんじゃないかってことです。

 

だから、若い皆さん、一つや二つの会社で上手くいかなかったからって

絶望的になる必要はないですよ。

「人並み(ってそもそも何?)」にこだわらなければ、

人生の選択肢は無限にありますから。

支えてくれる家族やパートナーがいるなら、

ここまでがんばらなくったっていいわけだし。

私は首都圏に住んでいるけれど、地方に住んでいれば、生活費は安くなるだろうし。

 

さて、翻訳の仕事も、10年前には翻訳支援ソフトを使うことなんて

ほとんどなかったのに、今では機械化がかなり進んで、

翻訳支援ソフトを使わない案件の方が少なくなっています。

翻訳という面白みは薄れてきている。この先どうなっていくのか。

 

それを考え、また、そろそろ食べるためだけが目的ではなく

仕事で喜びというものを味わいたいというのもあって、日々あれこれ勉強中。

今月からはオンラインの講座もいくつか始まり、

2年間のタロットの講座も残すところあと数か月。

頭はしんどいけれど、とりあえずは、11月のメディカルハーブの試験を目指して勉強。