それでも雨が降るときは

ホリスティックに発達障害とつきあう

マインドフルネスブームに想うこと~その2

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前回の続きです。


では、マインドフルネスを人に勧めたいかというと、

確かに有用だけれど、発達障害がある場合は注意も必要かと思います。

 

マインドフルネスはGoogleが取り入れたことで有名になりましたが、

もともとは仏教の瞑想法だったものが宗教色が薄くなっています。

 

私は最初からヴィパッサナー瞑想をやったので、

最近のマインドフルネス瞑想についてはあまり詳しくないのですが、

本をいくつか読んでみたところ、方法はいろいろのようですね。

 

ただひとつ、気になったのは、「気づき」ということはどの本でも

繰り返し書かれているんですが、その気づいたことに対して

「平静さ」を保つことの重要性については

それほど強調されていないような気がしました。

 

私がヴィパッサナー瞑想を教わった流派では、

「気づき」と「平静さ」は両輪のようなものとして

くどいほどに平静さを保つことの大切さを言われます。

 

ここが抜けてしまうと、結構大変なのです。

まあ、5分や10分くらいの瞑想なら、大丈夫かなとは思うのですが、

瞑想に慣れて「気づき」も深まってくると、感覚も鋭敏になります。

そのときに、「平静さ」を培えていないと、心のバランスを崩すことがあります。

特に発達障害の傾向のある人は、もともと感覚が過敏なことが多いので、

それがさらに悪化することがあります。

 

私も実際、かつて、コース中やコースの後は聴覚過敏がひどくなっていたのですが、

(だいたい、10日間も静かなところにいるのだから、

街中に出ればなおさらうるさくて仕方ない)

感覚に対して反応しない訓練ができていれば大丈夫です。

そうでない場合は(「気づき」が「平静さ」を上回る場合)、

心のバランスを崩す危険性もあります。

そもそも、気づくのはよいことばかりではないので、

やはり、その気づいたことが永遠には続かないという視点が欠けてしまうと

(この「無常」の理解が仏教系の瞑想の大切なところなんですが)

平静さを保つのは口で言うほど簡単ではないようにも思います。

 

ただまあ、根気強く続けていかないとあまり変化はわからないかもしれません。

多動性とか衝動性にはものすごく効果があると思うんですが、

ADHDが強い人は飽きっぽいことが多いので、一人では続かないかも。

 

ASDの場合は、逆にはまりすぎる危険があります。

特に、じっとしているのが好きなタイプの人は。

コースに参加すると、十日間しゃべらずにいられるなんて天国(笑)と思ってしまう。

あまり長時間瞑想しすぎると、代謝も下がるし、

意識が内に向きすぎて、人と一緒にいても半分瞑想状態みたいになってしまい、

さらに空気を読めなくなったり、浮世離れしてしまったりします。

正しく理解して瞑想をすれば、そんなことは起こらないのですが、

意外と、正しく瞑想するというのは難しいんです

(できれば即ブッダ(笑))。

 

あとは、昔、同じアスペルガー当事者に勧めたところ、

私が受けていた流派のコースに参加したそうですが、

嫌悪感が強く出すぎて瞑想にならなかったとのことでした。

そういう場合は、先に慈悲の瞑想をやる流派もあるので、

そっちの方が向いていたのかもしれません。

 

それから、仏教系のコースでは菜食が出されると思いますが、

コース中は当然のこととして、普段の生活でも続けられればいいのですが、

残念ながら発達障害者は血糖調節能が低いことが多いので、

糖質過多になりがちな菜食はあまりお勧めできません。

私自身、7~8年菜食を続け、低血糖症状や栄養不足がひどくなり

実際には低血糖症状(だるさ、うつっぽさ)などを

瞑想で乗り切るというわけのわからないことをしていたと今となっては思います。

 

最近は、認知行動療法と組み合わせた方法なんかもあるので、

自分に合った方法をいろいろ試してみるといいと思います。

 

私が習った流派の方法では、脳科学的な研究結果も出ていて、

1日40分、平均で9年間瞑想を続けた人たちでは

前頭前皮質と右前島皮質という、注意力や、

自己や他者の気持ちを認識する能力をつかさどる

脳の特定の部位の体積が増大していたそうです。

瞑想する脳科学 (講談社選書メチエ)

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ただ、必ずしもマインドフルネスじゃなくてもいいんじゃないかとも思います。

たとえば、単にリラックスしたいという目的であれば、

もしかしたら自律訓練法なんかの方が手っ取り早いのかもしれないし。


最近は、危険性についてもきちんと書いていたり、

いろいろな角度から見ていたりする本も出ているので、

興味がある方はぜひ読んでみてください。

 

進化するマインドフルネス: ウェルビーイングへと続く道

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  • 作者: 飯塚まり,井上一鷹,魚川祐司,大谷彰,栗原幸江,佐藤豪,恒藤暁,中川吉晴,永沢哲,中野民夫,廣安知之,日和悟,藤田一照,藤野正寛,プラユキナラテボー,スティーヴンマーフィ重松,村本詔司
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悟らなくたって、いいじゃないか 普通の人のための仏教・瞑想入門 (幻冬舎新書)

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マインドフルネスと禅の違いを知りたい方はこちら。

 

「マインドフルネス×禅」であなたの雑念はすっきり消える

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私が習った流派の本はこちら。

 

ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想入門―豊かな人生の技法

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こちらの本は、いちばん丁寧でやさしい言葉で書かれています。

 

マインドフルネス

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併せてこちらも。慈悲の瞑想はマインドフルネスと本来セットです。

 

慈悲の瞑想 慈しみの心

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  • 作者: バンテ・ヘーネポラ・グナラタナ,出村佳子
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  • 発売日: 2018/07/23
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こちらもいい本です。CD付き。

 

からだの痛みを和らげるマインドフルネス: 充実した生活を取り戻す8週間のプログラム

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ガイド 壮年期のアスペルガー症候群:大人になってからの診断は人生をどう変えるか

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