発達障害をめぐる医療の状況は15年前とそんなに変わらない?
最近出たばかりの発達障害関連の本を読みました。
私は特にこの手の情報を欲しているわけではないのですが、
なぜ読むことにしたかというと、私の診断医が執筆していたからです。
私が診断を受けた約15年前と何が変わったのか興味があったから。
その他にも医師や支援者などが執筆していて、
これが日本の精神医学界での最新の知見ということになるのでしょうか。
確かに、過剰診断や鑑別の難しさなどの問題に真摯に取り組んでいる
様子はうかがえました。
ADHDのデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)障害仮説などは興味深いです。
DMNは安静時に活性化し、課題に取り組んでいるときに不活化するのですが、
ADHDでは脳の成熟が遅く、DMNが不活化すべきときに不活化しないのだとか。
ASDとADHDの本質の違いについて言及されている箇所もあって、
それによると、ASDの本質は、
「外の世界と離れていて、その限られた世界の中でグルグル回っていくという、
強迫性と静的平衡」で「要するに閉じた輪」だそうで、それに対してADHDは、
「衝動性や変動性が非常に大きく、輪が閉じていない」
「いわばダイナミックな動的平衡状態」だそうです。
私はずっと、「自閉症」という名称でなければ「自己完結症」が
しっくりくるような気がしていたんですが、
ASDの人間が自ら助けを求めることが少ないのは、
そもそも自分の中で世界が完結してしまっていて、
他人に助けてもらうということに思いが及ぶことすらないから
なのではという気がします。
さて、診断医の執筆箇所によると、15年前と比べると
WAIS-IIIの結果によるASDとADHDの鑑別についても詳しく載っていますが、
ASDの場合、いろいろなパターンがあるものの、
基本的には「理解」の得点が低いことが重要だとか。
確かに私も、唯一ぽこんと低いのが「理解」で(当時はWAIS-R)、
高得点の項目とは10点の差がありました。
8点以上差があると、発達特性の偏りがあると判定するそうです。
そんなわけで、当時、私はアスペルガー症候群の診断名がついたのですが、
「A 社会的コミュニケーション及び対人相互反応の異常」
「B 興味の限局」
「C 症状が早期発達に存在」
「D 社会生活上の支障」
を満たすことが必要となっているので、
とりあえず社会生活が送れている場合には診断はつかないことになってしまいます。
当時、脳波検査で異常が見られたため、抗てんかん薬を勧められた(断った)
以外は診断がついたところで何かほかに治療を受けたわけでもないのですが、
それは今でも変わらないようです。
診断書を久々に見直してみたら、「主訴」が次のようになっていました。
「体力がない。寝ても疲れが取れない。慢性的なうつ傾向」
この主訴は、結局のところ診断がついても解決しなかったわけですが、
15年経った今ではすべて解決済みです。
それはなぜか。
フリーランスの在宅勤務という職場環境に変えてストレスを極力減らし、
4年前からは試行錯誤しながら栄養療法を試して、
栄養状態が大幅に改善されて体力面がアップしたからです。
栄養は体力だけじゃなく、神経伝達物質の状態にも影響するので、
情緒不安定も気づいたら今はすっかり治ってしまいました。
そうでなかったら、15年経った今でも、変わらずに苦しんでいたはずです。
不思議なことに、この本では誰も栄養のことについて書いていません。
栄養療法を取り入れている精神科医は本当に限られていると思うのですが、
栄養療法がエビデンスに乏しいから慎重になってまだ言及しないだけなのか、
日本の医学部では(特に昔は)栄養のことはほとんど勉強しないらしいので
医師に栄養の知識が乏しいからなのかはわかりません。
でも、発達障害かと思ったら実は単なる栄養不足だったというケースも
最近はよくあるそうなのだから、絶対に軽視できないはずなんですけどね。
専門外の医師の中にはどんどん発達障害者を楽にしている人たちもいるのだから。
ちゃんと診断を受けて自分の特性を正しく知るのは大切なことだけれど、
つらい状態から早く楽になりたいなら、
分子栄養学を取り入れているクリニックで血液検査のデータ解析してもらった方が
よっぽどいいと思うのが正直なところです。
そうしたお医者さんたちのセミナーは、一般人にも門戸を開いて
栄養についてわかりやすく教えてくれていますよ。
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こちらのブログでもたまに発達障害ネタや栄養療法ネタを書いています。