それでも雨が降るときは

ホリスティックに発達障害とつきあう

慣れ親しんだ生存戦略を手放す

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自閉症スペクトラム圏内の人間であれば

人生の中で少なくとも一度や二度はいじめに遭ったり

仲間外れになったりする経験をしたことがあるかと思います。

ない人もいるかもしれませんが、大多数はあるでしょう。

 

そうした経験から、集団の中で生き延びるために

自分なりに無意識に生存戦略をとっていることがあります。

 

私にも知らず知らずのうちに染みついていた戦略がありました。

それを戦略などと意識したこともなく、

いつの間にかそうした行動を取っていたのです。

 

数々の職場を転々としてきましたが、

まあ、もちろんのこと、居心地のいい職場なんてなかったです。

そもそも集団行動が苦手だったので。

 

長いこと海外と日本を行ったり来たりで流行にも疎かったので

生来のズレにさらにズレが加わってしまい、

就業中はともかく、昼休みの雑談は特に苦手でした。

たまに一人で本を読んでいたり、

フラっと逃げて公園でひとりでお昼を食べたりしていたので

「すかした奴」だと思われることが多かったようです。

 

元々、職場は仕事をしてお金をいただくところで

友だちをつくるところではないとドライに考えていたので

それほど深く悩むことはなかったけれど、

居心地悪くならないためにあるときから私が取った戦略は

他人の1.2倍の仕事をすることでした。

 

きっかけは、なんだか私だけ仕事を増やされて

(どうやらイジメられていたようですが、鈍いので

あんまり気にしていなかった(笑))、

残業したくなかったので昼休みを潰して作業していたら

こなせてしまった、ということでした。

 

それで、人より多めに仕事をしたり、

皆が嫌がる流しの詰まりを直したりしていたら、

あんまり風当たりが強くなくなったのです。

そこで他人より1.2倍働けば文句は言われないという

「1.2倍ルール」が勝手に自分の中にできあがっちゃったのです。

 

だいたいが、愛想がいいわけでもないし、面白いことを言って

人を楽しませられるわけでもないし、相手を褒めて喜ばせようにも

何だか棒読みになっちゃうし、ろくに取柄もない人間なので

そんな人間はせめて他人の1.2倍働かなくては集団の中で生きていけない

と思っちゃったみたいです。

 

一度染みついてしまったものってなかなか取れない。

一時期はボランティアまでやって、山のように任された仕事を

7年かけてやり遂げるまで、辞められませんでした。

1ヵ月便秘をして大腸内視鏡検査を受けるまで、

相当なストレスになっていることにも気づきませんした。

 

人からなにかをしてもらったり、物をいただくのも苦手で、

やっぱりお返しはその1.2倍になってしまうのです。

これには理由があり、昔、人の好意を素直に受け取っていた頃に

すぐにお礼をせずに人間関係が悪化したことが多々あったのです。

だから、「お礼なんていいよー」なんて言葉は真に受けてはいけない、

とにかくお返しをしておけば絶対に間違いない、と思ったんですね。

 

でも、お返しをしても、逆に嫌われて距離を置かれてしまう悲しいこともあります。

そうなるともう、わけがわかんないんですよね。

 

だからもう、いっそのことそんな生存戦略はやめにしようと思うのです。

もう私は十分にがんばってきた。しゃーないやん、こんなだって。

 

結局は、できない自分をいちばん責めているのは自分だったりします。

これまでは自分を生かしてくれた生存戦略も時が経てば必要なくなることがある。

そんなときはさっさと手放すのがよいと思う。

 

 

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