それでも雨が降るときは

ホリスティックに発達障害とつきあう

それでもやっぱり夢見たい

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このところ久々に立て続けに映画を観てきました。

この頃はなぜかいつもインド映画になってしまう。

だって見逃すとテレビでやらないから。

 

1本目はこちら。


歌ったり踊ったりの定番マサラムービ―ではなくて、アートムービー系の作品。

「格差恋愛」がテーマのようだけれど、恋愛というよりは

女性の立場だとか根強いカーストの問題だとか、社会問題の方が目につきます。

 

舞台になっているムンバイは実際に私も数回長期滞在したことがあるので

人々の暮らしぶりはよくわかります。

 

現地の古典音楽を習うために通っていたんですが、

低所得者の多いクリスチャンが住む地域にワンルームの部屋を格安で借りて、

いわゆるゲーテッド・コミュニティといわれる、

お金持ち層が住む門番付きの地域までバスを乗り継いで習いに行っていました。

入口でサインをして中に入ると、インドとは思えないような光景で、

地中海風の家々が立ち並び、プールやら野外音楽堂やらまでありました。

 一歩壁の外に出ると、すぐそこはスラムのような地域になっていて、

インドの格差の大きさを実感。

 

この映画も、主人公は貧しく、若くして寡婦になった後にムンバイに

働きに出るのですが、それもやはり、田舎では未亡人はいる場所がないからです。

インドは昔は、夫に先立たれた妻は夫を火葬する火の中に一緒に入って焼かれる

「サティー」という風習があったらしいのですが、

21世紀になった今でも、女性の立場はこんなに弱いのですね。

 

そういえば、以前に野外イベントでタロットリーディングをしたときに

インド人の若い女性のお客さんが来たのですが、

エンジニアとして日本で立派に働いているというのに、

「どうせ私は、親に決められた人と結婚するしかないのよ」

と言っていたのが印象的でした。

海外で働けるほどのインテリでも、風習にはなかなか逆らえないんですね。

それなのに、結婚のことを尋ねてくるという矛盾。

自分からは行動を起こす勇気はないけれど、

「どこかの誰かが現れてあなたをさらっていってくれますよ」

とでも言ってほしかったのかどうか。

「あなた次第ですよ」と言ってケンカになりましたけど(笑)。

 

マサラムービ―ならば、格差があろうが最後は大団円になるはずですが、

この映画は微妙なところで終わります。

現実的でありながら、どこかに淡い希望も抱かせる。

『めぐり逢わせのお弁当』もそんな終わり方でした。

あの映画はユーモアも絶妙でとても好きだったんですが。


2本目は典型的なマサラムービ―。


アーミル・カーンがプロデュースしているということで迷わず観に行きました。

アーミルの映画には外れがないので。

単なる歌ったり踊ったりではなくて、いつも社会問題を取り扱っています。

前作『ダンガル』はインドではヒットしたのに、日本ではいまいちだったよう。

女子レスリング好きな私のツボにははまったのだけれど。

 


『シークレット・スーパースター』は、イスラム教徒の少女がブルカで顔を隠して

You Tubeに弾き語りの動画を投稿し、大注目を集めるという話ですが、

その背後には、やはり女性の立場の低さやDVの問題なんかもあります。

物語のカギを握るのは主人公のお母さんでした。

絶望的な状況でも、最後の最後でひっくり返してくれるのはマサラムービ―ならでは。

最後の数十秒で逆転勝ちする伊調選手の試合を観た後のような気持ちよさです(笑)。

 

インドの女性といえば、昔もプーラン・デヴィーの自伝を読んで、

生い立ちのひどさに震えがくるほどだったけれど、

そこから這い上がるにはよっぽどの強さがないとならない。

 

こうした映画も、数十年前のことを扱っているわけではなくて21世紀の現代の話。

日本でも、ここまでではなくても、まだまだジェンダーの問題はあります。

 

でも、この2本を観て思ったのは、人間ってやっぱり希望がないと

生きていけないんだなと。

いや、生きてはいけるんですよ。でも生き生きとは生きていけない。

逆を言えば、多少現実に難があっても希望があれば生きていける。

進む方向がわかっていれば、足は前に進む。

進む方向も見えないのに、ただ生きているのはやはりつらい。

そこから抜け出すには勇気がいるのだけれど、

こういう映画を観ると、ちょっと灯がともる。

 

それにしても、インド映画をたまに観てあらためて思うのは、

インドでは女性が愛想悪くても全然普通だということ。

なるほど、確かに私には居心地がいいはず(笑)。

 

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発売から1年経ちました。

ガイド 壮年期のアスペルガー症候群:大人になってからの診断は人生をどう変えるか

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