それでも雨が降るときは

ホリスティックに発達障害とつきあう

インドナプキン物語

少しヒマが出てきたので、またインド映画を観てきました。

 

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なんでこの映画を観たかったのかというと、

私はちょっと前まで20年来、インドによく行っていたのですが、

ナプキンの値段の高さはよく知っていたからです。

 

この映画は実話に基づいていて、主人公の男性は

市販のナプキンが高価で買えずに汚い布を代わりに使っていた妻のために

安価なナプキンを作ることに全力を注ぐのですが、

この男性がナプキン作りを始めた2001年当時で55ルピーというのは

日本の物価の感覚でいえば1000円ちょっとくらいだったでしょうか。

8個入りくらいだったかな。

 

今でこそ、薄いナプキンも現地では手に入ると思いますが、

当時はパッケージに「Thicker than before! Stickier than before!」とか書かれていて、

「さらに厚くなった!さらに粘着力アップ!」ってどういうこっちゃいと

思ってました。日本では「さらに薄くなった!」なんだけど(笑)

粘着力強すぎて、毎回下着についたテープの跡をはがすのが大変だったし。

そんなわけで、日本円に換算したら大したことはないのだけれど、

1カ月くらいの滞在のときには、

質もずっとよくて1枚当たりの単価も安い日本製ナプキンを持っていっていました。

 

この映画の主人公のモデルとなっている人物については

何も予備知識をもたずに観に行ったんですが、

この人、いったいどうなっちゃうんだろうと観ながらハラハラしました。

(以下、多少ネタバレですので要注意。)

 

ナプキンづくりに熱心になるあまり、周りからは変態扱いされ、

奥さんも実家に帰ってしまい、村を出るはめに。

それでも最終的には安くナプキンを製造できる機械をつくり出し、

発明コンテストで大統領章をもらい、なんと、パドマシュリという

文化勲章までもらうのです。

 

貧乏で無学な人が発明をして成功するという話は世界中よくありますが、

この人のすごいところは、大儲けすることは考えずに、

その機械をインドの小さい村々に普及させて、

女性たちが起業できるようにしたこと。

インドの貧しい女性たちは衛生的なナプキンを安価で手に入れられるように

なっただけでなく、職をもって自立できるようになったのです。

しかも、ナプキンの需要はなくならないのだから、

景気に左右されない安定した収入源になります。

 

映画を観ながら、途中で、おや、と思いました。

ひとつのことを考えだしたら止まらない執念だとか空気の読めなさだとか、

なんかこの人、ちょっとアスペルガーっぽいなと(笑)。

実家に帰った奥さんに久しぶりに電話をしたというのに、

「元気?」というわけでもなく、ひたすらナプキンづくりの進捗を話しまくり、

「あの人は私のことなんて心配してないんだわ(涙)」というくだりとか、

アスペルガーの夫とカサンドラの妻の典型的なすれ違いのようではないですか(笑)。

まあ、どの辺までフィクションなのかはわかりませんが。

 

でも、空気が読めず、ひとつのことに執拗にこだわりつづけたからこそ、

達成できたのですよね。

 

さすがのマサラムービー、笑いあり涙あり、もちろんダンスありで

良質のエンターテインメントに仕上がっています。

そういえば私、若いときはタルコフスキーだとか、小難しいアートムービーしか

観なかったのに、インド映画を観るようになってから、

いつのまにか普通にエンターテインメント的な映画も楽しめるようになっているな。

 

映画の最後の方で、TEDでプレゼンをしているスチールが出てきたので

探してみたら、ありました。

短いし、日本語字幕もついているので、ぜひ観てほしいです。

特に男性には。

話題にするのはタブーとなっている生理について、

ここまで真摯に考えてくれる男性は日本でもそうそういませんよ。

 

www.ted.com

 

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 こちらもよろしく。

ガイド 壮年期のアスペルガー症候群:大人になってからの診断は人生をどう変えるか

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こんなのもやってます。