最近では、リーキーガットという言葉も以前より知られるようになりました。
リーキーガット(Leaky:漏れる、Gut:腸)症候群とは、
腸粘膜のタイトジャンクションと呼ばれる細胞間の結合が緩くなって、
本来通さないはずの分子の大きなものも通してしまう状態のことです。
リーキーガットになると、インスリンの初期分泌が低下して
血糖値が上がりやすくなったり、
アミノ酸まで分解されていない未消化のタンパク質も
通したりしてしまいます。
リーキーガットの原因には、抗生物質の多用や過度の飲酒のほか、
乳製品に含まれるカゼインがあります。
特にグルテンは、腸のタイトジャンクションを壊すゾヌリン
という物質を放出させます。
簡単に物質を通さないような構造は
腸のタイトジャンクションだけでなく、脳にもあります。
それが脳血液関門ですが、ゾヌリンはなんと、
脳血液関門も開いてしまうのです。
そうすると、未消化のタンパク質は
腸のタイトジャンクションを通るだけでなく、
脳血液関門も通過してしまい、
頭がボーっとしたりするのだそうです。
中毒症状も起こるので、小麦粉はやめられないわけです。
パンを食べて幸せな気分になるのは、
美味しいからってだけじゃないわけですね。
グルテン・カゼインフリー(小麦製品・乳製品を避ける)の食事で
自閉症スコアが改善したという研究結果もあるらしいですが、
そもそも発達障害者は、タンパク質分解酵素であるDPP-IVの働きが悪いために、
グルテンやカゼインが十分に分解されないそうです(以下参照)。
ちなみに、GABAって脳血液関門を通過できないのですが、
GABA入りチョコやGABAのサプリを摂って効いてしまうのは
リーキーブレインを起こしているからではないかという説もあります。
ただ、GABAの受容体には腸にもあるらしいこともわかってきているので
実のところはわかりませんが。
実際にリーキーガットを起こしているのかどうかというのは
遅延型フードアレルギー検査をしてみるとわかります。
これは、急性アレルギー検査のようにIgEをみるものではなく、IgG抗体をみます。
この検査で、たくさんの項目に反応していることがあります。
こんなにたくさん反応が出てる!何にも食べられないじゃん!
と思うかもしれませんが、これは、リーキーガットになっていて、
未消化物を通してしまっているので反応が出ているということのようです。
だから、大きく反応したものを食べるのをすべてやめなくてはならない
ということではなくて、リーキーガットを治すことが必要だということです。
そしてカンジダのエサになる糖質の過剰摂取をやめること。
そのほかには、尿有機酸検査も参考になります。
カンジダの代謝物であるシュウ酸や酒石酸やアラビノースが高いと、
カンジダが繁殖している可能性が高いので
リーキーガットも起こしている可能性があります。
ちなみにシュウ酸は、ほうれん草などに含まれていることが知られていますが、
トマトやナスなどの野菜のほか、コーヒー、紅茶、緑茶にも多く含まれます。
なので、そうしたものをたくさん食べていると、
カンジダが少なくてもシュウ酸値が上がるので注意。
有機酸検査は見方が難しいので分子栄養学クリニックで受けた方がいいですが、
遅延型フードアレルギー検査は郵送でも受けられます。
ただ、どちらもお値段高いですからね…。
私はかつてはレーズンから酵母を起こしてパンを作っていたほどの
パン好きでしたが、リーキーガットについて知って以来、
すっかり食べなくなりました。
遅延型アレルギー検査は、6年近く前に1度受けて以来受けていませんが、
有機酸検査でアラビノースはだいぶ下がったし、腸の状態もかなり良好に。
こちらもご参考に。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
2冊目の翻訳書が出ます。
こちらもよろしく。
栄養や発達障害についてのご相談はこちらに。