それでも雨が降るときは

ホリスティックに発達障害とつきあう

診断後 その5 低血糖と栄養不良の問題に気づく~人生が楽に

確定診断を受けてから十数年過ぎたある日のこと。

 

アマゾンで奨められたある本が目に留まりました。

吉濱ツトムさんという人の『アスペルガーとして楽しく生きる』という本。

当事者の本はさんざん読んだし、もう今さら、と思っていたけれど、

タイトルが気になったのです。

「楽しく生きる」?楽しいの?アスペルガーで?

 

読んでみたところ、とても興味深い内容でした。

著者が自らの人生を改善するために試行錯誤を重ねて有効な方法を発見し、

それを体系化して今では発達障害カウンセラーとして活躍しているというのです。

 

紹介されている改善法の中で何よりも衝撃的だったのは、ローカーボ療法でした。

発達障害者は糖代謝異常があり、低血糖になりやすいとのこと。

それには糖質制限が有効だと言うのです。

 

代謝異常については、

確かドナ・ウィリアムズの本にもチラッと書かれていたし、

自分でも低血糖になりやすいという自覚はあったのだけれど、

その対処法はまったく逆に考えていました。

 

低血糖になりやすいから、そうならないように甘いものや

おやつを意識して食べるようにしていたのです。

一時期は、ブドウ糖(薬局で売っている、ラムネみたいなやつ)を

持ち歩いたりもしていました。

 

お腹がすくとひどいときには手が震えだすし、

とにかく情緒不安定になって、「お腹がすく=頭がおかしくなる」

と思っていたので、逆に一気に血糖値を上げるようなものばかり食べていました。

それがかえって低血糖を招いているということはちっとも知らずに。

 

そんなわけで、糖質制限が有効だというのは、

アスペルガーについて知ったときと同じくらい衝撃的だったのです。

私はもともと太れない体質で、気をつけていないとすぐに痩せてしまうので

(というと、「あら~、嫌味?」なんて言われるけれど、

太れないことに悩んでいる人間もいるというのはあまりわかってもらえない。

なんで皆あんなに痩せたがるんでしょうね?

海外に行くと、子どもみたいな体型で恥ずかしいんですけど。)

糖質制限なるものが流行っているのは知っていたけれど、

これっぽちも興味ありませんでした。

だから、アスペがらみで糖質制限を試さなかったら、

永遠に情緒不安定なままだったかもしれません。

 

理屈で納得すると行動できてしまうタイプなので、

さっそくローカーボ療法を試し、

同時に、サプリメントもたくさん摂り始めました。

あれほど甘いもの好きだったのに、砂糖も炭水化物も3日でやめてしまいました。

一気にやめてしまったせいで、糖新生が上手くいかず、

3週間ほど低血糖になっていたようですが、

これは勝手に、好転反応なのかな、と思っていました。

 

3日でやめられたのには理由があって、

長年やっている、感覚を観察する瞑想法を応用したからです。

その後、ローカーボについてもいろいろ勉強して、

あまり極端な糖質制限はよくないということがわかったので

今では炭水化物もある程度は摂るようになりました。

 

ちなみに、私はそれまで7、8年ベジタリアンをやってきて、

ちょうどその限界に気づき始めた頃だったので受け入れられたのだけれど、

それより前だったら、肉食が必要なローカーボ療法なんて

絶対に受け入れられなかっただろうと思います。

何ともタイムリーなときに出会えたわけで、

アマゾンは時期も見計らって奨めてくれるのかと思ってしまうほど。

 

それでどうなったか。

なぜだか夜中にトイレに起きなくなったので(それまでは毎日起きていた)

よく眠れるようになって睡眠時間は2時間減り、

気分の浮き沈みもうんと少なくなりました。

集中力も高まったので仕事の効率もアップし、

不安が減ったことから割に合わない仕事は断れるようになって、

自営業だから収入もアップしました。

ついでに長年の悩みの種だった過敏性腸症候群もよくなってしまった。

 

それまで、発達障害云々なんて言っていても

どうにもならないんじゃないかと思っていたけれど、

代謝異常や栄養状態が心身に大きな影響を及ぼしているのだとしたら、

発達障害を自覚して正しく対処することで人生は大きく変わるのではないか。

そう思った私は、忘れることにしていた、

自分に発達障害があるという事実にもう一度向き合ってみることにしたのです。