それでも雨が降るときは

ホリスティックに発達障害とつきあう

マンガの効用

自閉症の子どもは周囲の人との会話からではなく

テレビや本などで言葉を覚えるという話があります。

大人でも書き言葉のようなしゃべり方をする人もよくいますし、

自閉症者は方言を話さないことが多いという説もあります。 

 

自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く

 

 

私はわりと話し言葉は普通だったように思いますが、

考えてみたらそれはマンガばかり読んでいたからだったようです。

 

姉が2人いたので、うちには常に少女マンガの月刊誌や週刊誌が数冊あって、

漢字もマンガで覚えたようなものでした。

そのおかげか、小学校のときに400点満点の漢字テストで

一人だけ満点を取ったことがあって、「漢字博士」と呼ばれましたが、

偏った才能も育てなければただの人。

今では人並み程度にしか漢字はわかりません。

 

マンガをたくさん読んでいてよかったと思うのは、

話し言葉がそれほどおかしくならなかったことと字を覚えたことのほかに、

女子の人間関係の予習ができたことです。

 

何しろこういう脳みそをもって生まれてきたのだから、

人間の複雑な心理なんていうものはなかなか理解できません。

 

姉たちが観ていたようなドラマはまったく興味がもてず、

本も、図書館でよく借りてはいましたが、

実際に読んでいたというよりは、図書カードにスタンプがたくさん

押されていくのが嬉しかったから借りていたのでした。

 

自閉っ子らしく、自ら好んで読むのはSF小説ばかりで

ブラッドベリバロウズの「火星シリーズ」

(主人公の元軍人がなぜか幽体離脱して火星に行ってしまい、

ヒーローになるというお話)がお気に入りで、

マンガもSFものや歴史ものが好みでした。

 

ただ、雑誌をとっていると、いろんなジャンルのマンガが載っていて、

中には学園ものや恋愛ものなんかもあるわけです。

マンガ雑誌は隅から隅まで読んでいたので、

そうしたものも当然ひと通り読んだわけですが、

それが功を奏して、学校での女子の人間関係でさまざまな

状況に出くわしても、パニックにならずに済んだのだと思います。

 

修学旅行の夜に、誰かが「○○くんのこと、好きだったのに」とか言って

泣き出したかと思ったら、次から次へと皆「私も」だとか言い出して

気づいたら皆で泣いているっていう、

アスペもちからすると意味不明だったりする状況でも、

マンガで読んでいるから心情は察することはできたわけです

一緒に泣きはしないけれど)

 

今思えば、マンガを読まずに育っていたら、

女性であるアスペの私の人生はもっと大変だったかもしれません。

 

今は昔に比べたらずいぶんドラマも観るようになったけれど、

気づいてみれば、ちょっと変わった登場人物が出てくるものばかり。

やっぱり共感できるものしか観続けてはいられませんね。

朝ドラの主人公はグレーっぽいのが多いと思うのは私だけ?

 

そういえば、ひと昔前って、たとえば中国人がしゃべる日本語は

「~であるよ」みたいなイメージがありましたが、

今そんな話し方をしている外国人ってあまりいなくて、

皆ものすごく自然な日本語を話すので感心させられます。

 

これは、日本のマンガやアニメやドラマが手軽に観られるようになった

こともあるかと思いますが、テレビのバラエティー番組などで

芸人のツッコミなどを画面に文字で出すことも影響しているんじゃないでしょうか。

聞き取れないようなくだけた言葉やスラングでも文字で確認できるんですよね。

最近はそれほどでもなくなったような気がしますが、

一時期は字幕放送かと思うくらい、やたらと文字が出ていたような。

 

そう考えると、そういうテレビ番組を観て育ってきたアスペルガーの子どもは

バラエティー番組的な会話を覚えて身につけやすく、

日常生活でも気づかれにくいのかもしれません。