それでも雨が降るときは

ホリスティックに発達障害とつきあう

発達障害と双極性障害II型と睡眠・覚醒リズム表

私は十数年前に診断を受けたとき、抑うつ傾向はうつではなく、

てんかん性精神病」とでも呼べるようなもので、

抗うつ薬を飲むと悪化するタイプで、飲むなら抗てんかん薬だと言われました。



でも実際にてんかんの発作を起こしたことがあるわけではないし、

いったいそれが何なのかずっと謎でした。

薬嫌いなので、処方箋は出してもらいませんでしたが、

その後、浮き沈みの激しさに、やっぱり薬を飲もうかと考えたこともあります。

それでも、抗てんかん薬は副作用が強いということを考えて、躊躇していました。

 

ところが、あるとき、『セラピスト』というノンフィクションを読んで、

もしかしたら私の状態は双極性障害II型に近いのでは、と思ったのです。

 

セラピスト (新潮文庫 さ 53-7)

セラピスト (新潮文庫 さ 53-7)

 

 

著者は綿密な取材をして読みごたえのあるノンフィクションを書く人で、

この本でもいろいろなセラピストに取材に行きますが、

取材が終わりに近づいた頃に自分自身の問題に突き当たり、

最終的にクリニックを訪れ、そこで双極性障害II型と診断されたのです。

調子のいいときには、本の執筆中で忙しくても同時にいろんなことをして

躁状態にあったといいます。

 

そのくらいだったら私にもよくあります。

もしかして、「てんかん性精神病」というのは双極性II型のことでは、

と思ったのです。

診断当時はまだ、双極性障害II型はほとんど知られていなかったはずです。

双極性II型であれば、抗てんかん薬を処方することもあるはず。

 

そしてしばらくして、『双極II型障害という病』という本を読んで、

ますます自分の状態に近いように思えたのです。

 

双極II型障害という病 (改訂版うつ病新時代)

双極II型障害という病 (改訂版うつ病新時代)

 

 

この本によると、双極性II型の患者は単極型のうつ病患者より活動性が高く、

抑うつで療養中にアジア諸国への海外旅行に出かけるくらいは茶飯事」

なのだそう。私にとってもそのくらいは茶飯事。

たびたび抑うつ状態になっても病院にかからなかったのは、

その状態が長くは続かず、元気になると

「私、もう全然平気」と思えてしまうからでした。

そのほかにもII型の患者は「一人でいられる能力が意外に高いだとか、

「調子の高いときに決めたことがあとで負担になる」だとか、

当てはまることだらけです。

 

ただ、「一人でいられる能力が意外に高いというのはアスペに通ずることだし、

活動性の高さはADHDと取れなくもありません。

その辺の鑑別は難しく、発達障害うつ病の合併はよく聞きますが、

双極性障害との合併はどうなのでしょうね。

 

最近の日本の論文には、「成人のアスペルガー障害における

双極性障害の併存率は6~21%」とありました。

また、双極性障害の好発年齢は25歳前後で、もともと発達障害の特性がある人が

ある年齢に達したときに双極性障害を発症することがあるのだそうです。

 

私も双極II型的な軽躁状態が見られるようになったのは20代を過ぎてからで、

子どもの頃は抑うつ状態のみで軽躁状態はなく、

今は多動性を指摘されることもあるけれど、子どものときは多動性は

ほとんどありませんでした。

20代の初めにお酒を飲み過ぎていたことがあったので

それがきっかけだったのかもしれません。

酒飲みに囲まれていたために、受動型なので「朱に交われば赤くなる」で

誘われるままに飲んでいて、周りからは飲まない方だと思われていましたが、

今思えば、周りが依存症レベルだっただけで、

私自身もバカみたいに飲んでいました。)

 

実際に双極性II型と言えるのかどうかはわかりませんが、

どちらにしても薬物療法は受ける気がなかったので、

その後、自分なりにいろいろと調べてみました。

 

こちらのサイトで睡眠・覚醒リズム表というものを見つけたので

ダウンロードして試しにつけてみました。

本当は薬物療法をやりながら睡眠・覚醒リズムと気分の波の関係を

把握するために記録するらしいのですが、まあ別に、

薬物療法をやっていなくたっていいんじゃないかと思ったわけです。

すると、面白いことがわかりました。

 

人と会って話したりすると、言われたことがきっかけとなって

その夜はよく眠れず、そこから睡眠のリズムが狂いだして

気分もうつっぽくなっていくということです。

 

睡眠・覚醒リズム表の記録を始めたのが2015年の2月ですが、

その後、2015年の11月頃に糖質制限を始めたところ、

それからは睡眠時間が短くなったにもかかわらず、

気分の浮き沈みがうんと少なくなっています。

Excelで自分でアレンジして引き続き記録してはいますが、

今は気分の浮き沈みに悩まされることは少ないので、

ほとんど仕事の時間管理表と化しています。

 

あと気づいたのは、軽躁っぽくなると睡眠時間がやけに短くなり、

4、5時間で目が覚めてしまうのですが、そのまま起きて活動を始めてしまうと、

睡眠時間が短い日が続くことになり、結果的にうつ相に入ってしまうということです。

なので、いくらエネルギッシュでいろいろやりたい気分になっても、

最低6時間は布団の中に入ってうつらうつらするようにしています。

やる気のあるときに、やる気の出ない時期の分をカバーしたいのは

やまやまなんですが。

 

ちなみに、双極性障害の治療として「対人関係・社会リズム療法」

というのもあります。

 

対人関係療法でなおす 双極性障害

対人関係療法でなおす 双極性障害

 

 

双極性障害の対人関係社会リズム療法 臨床家とクライアントのための実践ガイド

双極性障害の対人関係社会リズム療法 臨床家とクライアントのための実践ガイド

 

 

だいぶ前に興味をもったことがあったので、水島広子さんのセミナーに

行ったことがありますが、対人関係療法発達障害者には向かないということでした。

発達障害者はフラッシュバックがひどいので、過去の人間関係を思い出すというのは

かなり酷なことになる、とのこと。

発達障害者には認知行動療法の方が向いているそうです。

 

でもまあ、睡眠・覚醒リズム表は発達障害者にもとても役に立つと思います。

自分で表をアレンジすれば、食事や運動や気候との関係もわかり、

気分の波が何によって左右されているのかを把握できます。

副作用の心配もありませんし、タダですので、ぜひお試しを。

 

 

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