まだ認知度は低いと思いますが、双極性障害II型というものがあります。
軽躁状態のときは単にやたらと調子がいい、いつもより元気、
くらいにしか本人も自覚がないので、
うつ状態になったとき病院へ行ってうつ病と誤診されることも少なくありません。
私もおそらく、多少なりともこの傾向があると思います。
薬を飲みたくないので病院には行っていませんが。
この傾向があると厄介なのは、軽躁状態のときには
やたらに元気だし頭も働くので、つい何事も過剰になってしまうことです。
いったん調子が悪くなると思うように力が発揮できなくなるので、
調子のいいときにはそれをカバーしようとがんばりすぎてしまいます。
多少睡眠時間が減ったって不思議と平気だったりするのもこの時期です。
エネルギーに満ち溢れている時期なので、
人から何かを頼まれようものなら、任せておいて!とばかりに引き受けてしまいます。
調子の悪いときの私を知らない人からすると
(そういうときは家で大人しくしているので気づく人はほとんどいない)
どうも、頼もしい人間に見えるようです。
発達障害者が抱えがちな劣等感と相まって、
こんな私で役に立つなら、なんて思ってしまいます。
調子がいいと、忙しいけどちょっとがんばればこのくらいはできる
なんて考えてしまうのです。
ところが、そうして山のようにやることを抱えてうつ期に入ってしまうと
当たり前だけれど、しんどくてたまらない。
絶好調の時期の半分くらいのエネルギーで
同じ分量をこなさなければならないのだから。
まあ、それでも、泣きながらでも歯を食いしばって何とかこなせば
確かにキャパは広がるんだけれども。
でもそれってやっぱり精神的に危ういので、最近しみじみ思うのは、
調子のいいときでも、やりたいことは山ほどあっても
腹八分目、いや、腹七分目(食べ物の話じゃありません。ものの喩え)
にしておくのが、ジェットコースター状態を回避するにはいいのかなと。
ただこれは、双極性障害だけの話じゃなくて、ASDそのものにも
そうなりやすい傾向があるのかもしれません。
拙訳書『壮年期のアスペルガー症候群』では、それをゴムバンドに喩えています。
「ASD成人当事者はある点までは弾力的で柔軟です。つまり、彼らはゴムバンドのように薄くなって伸びますが、古くなって消耗していたり薄く伸ばしすぎたりすると、精神的に、そして多くの場合、肉体的にもプチっと切れます。これは自閉症的な極度の過負荷なのです。」
英語で「The last straw breaks the camel's back」という言葉がありますが、
最後のワラ一本でラクダの背骨を折れる、というのは、
ワラほどの軽いものであっても、すでに限界に達している場合は
それ以上載せると壊れるという意味です。
傍からすると何でそんなことで、と思うようなことでも、
極限状態にあった場合は崩れます。
そして、発達障害者には自分が極限状態にあるということが
なかなか自覚できない場合が多い。
だから、最初からあまり多くを引き受けすぎないようにするというのが
大切だと思う今日この頃です。
周りの人が絶対に気づいてくれそうもない場合は特にその自覚が大事。